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更新日:2022年8月22日

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2022年8月のおすすめ絵本

読み聞かせについて

読み聞かせは、情操教育においても、また集中力をつけるのにも有効であるといわれており、何より大好きな人に読んでもらった本とその先に広がる世界は子どもたちの心にしっかり残っているものです。
ここでは、それぞれ読んでいただく対象者別に本をセレクトしました。

(山梨県立図書館サービス課子ども読書推進担当)

パパに読んでもらいたい本

まだまだつづきがあるのです

カンタン・グレバン作 ふしみ みさを訳 ほるぷ出版 2010年(出版社在庫なし、県内17館で所蔵)

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とても暑い日のことです。太陽の光をたっぷり浴びた美味しそうなオレンジがひとつ、枝からポトンと落ちました。ただそれだけのこと、なのですが、これが大事件を引き起こします。

まず、このオレンジが落ちたとき、そこに止まっていた蝶がふわりと飛び立ちました。それだけならたいしたことのようには思えませんが、「まだまだ つづきがあるのです」。舞い上がった蝶は、眠っていたネズミの鼻先に止まりました。すると、その蝶の羽のせいで、ネズミは鼻がむずむずして、くしゃみが止まらなくなってしまって…。

小さな出来事が繋がって、大事件に向かっていく展開にハラハラします。引き起こされた大事件の責任を誰がとるのか、という結末も楽しいお話です。

きいろいのはちょうちょ

五味太郎作・絵 偕成社 1983年

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野原に、黄色いものが見えます。男の子が「きいろいのは ちょうちょ……」と言いながら虫取り網で捕まえようとすると、あれ?黄色いものは蝶ではなく、花でした。男の子は次に、木の上にも黄色いものがあることに気が付きました。「きいろいのはちょうちょ……」。今度こそ蝶に違いないと思った男の子が近づいてみると、あれれ?黄色い果物でした。その後もいろいろな場所で黄色い蝶らしきものを見つけますが…。さて、男の子は蝶を捕まえることができるのでしょうか。

夏の虫取りの季節にぴったりの絵本です。ページには、蝶の形の穴が開いており、穴から黄色が見えるしかけになっています。めくった後の穴から見えるものにも注目です。お子さんと黄色いものの正体を予想しながら、ページをめくって楽しんでみてはいかがでしょうか。

ママに読んでもらいたい本

ぼく、あぶらぜみ

得田之久ぶん たかはしきよしえ 福音館書店 2008年

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暑い夏の日、オスのアブラゼミが「ジリジリジリジリ……」と鳴いていると、メスのアブラゼミがやってきました。2匹が交尾をした数日後、メスは枯れ枝の皮の下に卵を産みました。卵はそのまま冬を越し、再びやってきた夏に「こんにちは!」とセミの子が誕生します。枯れ枝で生まれたセミの幼虫は、土の中にもぐり、長い時間をかけて成長していきます。

セミの一生を、産まれたばかりのセミの子が語り手となって、やさしく教えてくれます。たくさんのセミが鳴き始めるこの時期に、ぜひ読んでほしい科学絵本です。

えきべんとふうけい

マメイケダ作 あかね書房 2021年

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電車から見える旅の風景と、おいしそうな駅弁の絵を楽しむことができる絵本です。お弁当に入っている魚の形の醤油入れが、電車に乗って旅をします。電車が出発すると、車窓からは立ち並ぶビルや遠くにそびえるタワーが見えます。すると、「ガサゴソ…パッチン!」と、誰かが駅弁を開ける音がしました。大きなからあげの入った色鮮やかなチキン弁当です。電車は海や山を越え、川にかかる橋を渡って、次の町へとのんびり進んでいきます。

駅弁を開ける音が聞こえるたびに、シウマイ弁当や八角弁当、ひっぱりだこ飯など、日本各地の駅弁が登場します。

じいじ・ばあばに読んでもらいたい本

キウイじいさん

渡辺茂男・ぶん 長新太・え クレヨンハウス 2005年

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キウイの好きなおじいさんが、キウイの苗を一本庭に植えました。実の収穫を楽しみに世話をしますが、その年は花をひとつ咲かせただけでした。次の年、もう一本苗を増やして世話をしますが、その年もそれぞれの苗に花をひとつずつ咲かせただけでした。期待を裏切られて怒ったおじいさんは、「もうみずなんかやるもんか」と言って、「これでもか、これでもか」と、苗の周りに毎日生ごみを埋めました。すると、キウイが勢いよく成長を始めます。これで実を収穫できるかと思いきや、大変なことになってしまいます。

一生懸命に世話をしたり、怒ったりと、感情豊かなおじいさんがユーモラスでクスッと笑える絵本です。恐ろしいほどの苗の急成長を、ダイナミックに描く長新太さんの絵も見どころです。

海のアトリエ

堀川理万子著 偕成社 2021年

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おばあちゃんの部屋には、子どもの頃のおばあちゃんの肖像画が飾ってあります。ある日おばあちゃんは、絵を描いてくれた絵描きさんとの思い出を語ってくれました。その頃、学校に行けなくなり、夏休みも家に閉じこもっていたおばあちゃんは、お母さんの友達の絵描きさんの家に1人で遊びに行くことになりました。天井の高いアトリエがあり、大きな窓からは青い海が見える家です。そこでは日常から離れ、絵描きさんが絵を描くのを眺めたり、誰もいない浜辺へ2人で水着を着て散歩に行ったり、いろいろな絵を描いたりしました。1人の絵描きさんとの出会いが、今もおばあちゃんの心に刻まれています。

「おばあちゃん」が孫娘の「わたし」に語った特別な夏の思い出が、鮮やかによみがえります。ページいっぱいに描かれた、広々とした海が印象的です。