更新日:2023年12月1日
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読み聞かせは、情操教育においても、また集中力をつけるのにも有効であるといわれており、何より大好きな人に読んでもらった本とその先に広がる世界は子どもたちの心にしっかり残っているものです。
ここでは、それぞれ読んでいただく対象者別に本をセレクトしました。
(山梨県立図書館サービス課子ども読書推進担当)
ターシャ・テューダー絵 クレメント・ムア詩 中村妙子訳 偕成社 2000年
家族が寝静まり、ねずみたちまでひっそりとしたクリスマスの前夜、外から聞こえるカタカタという音に父さんが目を覚ましました。ベッドから起き上がり外を覗くと、驚いたことに、小さなそりを引っ張る8頭のトナカイが夜空を駆けてきて、軽々と屋根におりました。頭上からトナカイの蹄の音や煙突でごそごそする音が聞こえます。次いで、ドシンという音とともに、暖炉からサンタクロースが家の中に飛び込んできました。それは、丸い顔に真っ白な髭を生やし、赤い帽子に赤い服を着た楽しそうな小人のおじいさんで、おもちゃのたくさん入った袋を背負っていました。 アメリカでサンタのイメージを定着させたという有名な詩に、絵本作家ターシャ・テューダーが、色彩豊かな美しい絵を描きました。5歳から楽しめる、クリスマスにおすすめの絵本です。 |
酒井公子再話 織茂恭子絵 偕成社 2003年
あるところにダーという名前の男がいました。歩くのに疲れたダーは、楽をしようと考え、馬を買いに市場へ向かいました。ところが、馬は高く、ダーの手持ちのお金では買えません。すると一人の男が、「とても いいうまを、いまなら やすく おうりできますよ。」と声をかけてきました。なぜ安くできるのかと聞くと男は、「そのうまが まだ たまごだからなんです。」と言います。ダーは大喜びで、その卵を買いました。さて、卵からどんな馬が孵ったのでしょうか? ベンガル(インドの西ベンガル州からバングラデシュにわたる地域)に伝わる民話です。おはなし会で読み聞かせをした際には、子どもたちが、ダーが卵から孵った生き物を追いかけていく様子を食い入るように見ていました。クスッと笑えるストーリーを、ぜひ親子一緒にお楽しみください。 |
安野光雅さく・え 福音館書店 1981年
カードから飛び出したジョーカーが、トランプの国を案内してくれます。トランプの家に行くと……おや、時計の文字盤や看板がさかさまです。家の後ろに立つ木々は上から下に向かって生え、アヒルも逆さになって空中を歩いています。ジョーカーは、この「さかだちの へんな いえ」の扉を絶対に開けてはいけないと言います。けれど、誰かが扉を開けてしまったようです。家の中から兵隊たちが起き出してくると、逆さに立つ者同士で「さかさまなのは きみたちだ」と、きまってケンカを始めます。どちらが「だんへ」か、王さまに決めてもらおうとお城に向かいますが……。 だまし絵でトランプたちの不思議な世界を描いたユーモラスな絵本です。4歳ごろから楽しむことができます。 |
アストリッド=リンドグレーン作 イロン=ヴィークランド絵 やまむろしずか訳 偕成社 1980年
「なんだってできる」が口癖のロッタは、ママから、隣に住むベルイおばさんにクリスマスのパンを届け、ついでにゴミを捨ててきてほしいと頼まれました。ロッタは豚のぬいぐるみのバムセを連れ、途中でゴミを捨ててから、スキーでおばさんのところへ行きました。ところがパンとバムセが入っているはずの袋を開けると、なんとゴミが詰まっていました。驚いたロッタは、おばさんの家を飛び出し、ゴミ収集車を追いかけます。無事、パンとバムセを取り戻し、おばさんの家から帰ったロッタは、パパから悲しい知らせを聞きます。「町じゅうに クリスマスツリーは 一本も うっていなかったんだよ」。ロッタは泣きたい気分で、ベルイおばさんのために新聞を買おうとキオスクに出かけると、大量のもみの木を運ぶトラックを見つけました。ロッタはもみの木を買おうとしますが……。 |
松谷みよ子文 朝倉摂絵 講談社 2010年
ある山の中の村に、たつのこたろうという少年が、ばあさまと一緒に暮らしていました。ある夜、たろうは、ばあさまからかあさんのことを教えてもらいました。かあさんは、山に行き、竜になった直後にたろうを産み、今は遠い北の湖にいると言うのです。その晩、友達のあやが赤鬼にさらわれたと知らせがありました。たろうは、鬼を退治して、その後にかあさんに会いに行こうと決めました。すると、ばあさまから「てんぐさまを 先に おたずねして、力を もらうだ。」とアドバイスされ、天狗に会いに行きます。たろうは、あやを助け、かあさんに会うことができるでしょうか。 名作『龍の子太郎』の絵本版です。2024年の干支、辰(竜)が登場します。5,6歳から小学校低学年ぐらいの子どもたちにおすすめです。 |
ヴィクトール=リードベリさく ハラルド=ウィーベリえ やまのうちきよこやく 偕成社 1979年
雪の積もった真冬の夜、農場ではトムテと呼ばれる小人がただ一人起きていて、遠くの森を見渡していました。白いひげを蓄え赤い帽子を被ったトムテは、「わしには まだ、どうも よく わからん。」とつぶやいた後、毎晩の仕事を始めました。食料小屋と、動物たちの小屋を見回り、母屋に主人夫婦と子どもたちの様子を見に行きます。何代にもわたり農場を見守ってきたトムテは、子どもたちの可愛い寝顔を見ながら、自分の中の大きな疑問をまた思い出しました。「ひとは、どこから くるのだろう」。 トムテは、農家や仕事場に住み着いて人々の幸せを見守り、大事にするだけ家人を助けてくれると言われている小人です。この絵本は、スウェーデンで愛されている詩をもとに作られました。しんと静まった冬の夜に命の不思議を問いかける詩が、美しい翻訳で綴られています。 |
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